中国
中国は960万平方キロメートル — ゴビ砂漠から亜熱帯の雨林、ヒマラヤの高原から人口3,000万のネオン輝く巨大都市まで、省がひとつ変わればまるで別の国という圧倒的なスケールの国です。5,000年にわたり途切れなく続いた文明の密度は世界でも並ぶものがなく、山の稜線を縫って走る万里の長城、北京の中心に鎮座する故宮(紫禁城)、西安郊外に整列する兵馬俑、漓江に映る桂林のカルスト峰、映画『アバター』の浮遊山のモデルとなった張家界の石柱群 — 教科書や三国志、シルクロードのロマンで親しんできた風景が、実物として目の前に現れます。現代の中国はそこに超高速の都市文明を重ねます。上海・浦東の摩天楼、深センのテックキャンパス、成都のパンダ基地と激辛火鍋。甘粛・新疆へと続くシルクロード回廊、雲南の棚田、チベットの僧院は、アジア大陸で最も奥深い陸路の旅を約束してくれます。
中国のビザ要件
中国はここ数年でビザ制度を大幅に緩和しました。日本を含む多くの国の国民は、観光・商用・親族訪問・乗り継ぎを目的とする30日以内の滞在であれば、ビザなしで中国本土に入国できます(日本国籍への免除は2024年11月30日に再開されたもので、政策は定期的に更新されます — 渡航前に必ず最新状況を確認してください)。それ以上の滞在や、就労・留学・報道などの目的では、中国ビザ申請サービスセンター(CVASC)または大使館で事前にビザを取得する必要があります。この30日間免除の対象に含まれない国籍(イギリス・アメリカ・カナダなど)でも、第三国・地域への乗り継ぎであれば、数十の指定空港・港を通じて240時間(10日間)以内のトランジットビザ免除を利用できます。以前あった短い時間区分の制度は、この240時間制度に一本化されました。なお、香港とマカオは本土とは完全に別の出入境制度を持つ特別行政区で、入境ルールも異なります。
ビザの種類
対象国の国民は、観光・商用・親族訪問・乗り継ぎを目的にビザなしで中国本土に入国できます。日本国籍は2024年11月末から対象です。対象国リストと条件は定期的に更新されるため、渡航前に中国大使館またはCVASCで最新の適用状況を必ず確認してください。
重要な渡航情報
- ビザなし入国の対象は大きく拡大しましたが、政策は頻繁に変わります。日本国籍への30日ビザ免除(2024年11月30日再開)を含め、渡航前に最寄りの中国大使館またはCVASCで最新の対象・期間・条件を必ず確認してください。現行の免除は観光・商用・親族訪問を対象とし、就労・報道・長期留学は含まれません。
- 香港とマカオは完全に別の出入境制度を持つ特別行政区です。香港・マカオへの入境は中国本土への入国には数えられません。本土へ続けて渡る場合は、別途ビザまたはビザ免除の適用が必要です。
- パスポートは入国時に残存6か月以上・見開き2ページ以上の余白が必要です。中国ビザはパスポート1ページを丸ごと使います。ホテル以外(知人宅・民泊など)に滞在する場合は、到着後24時間以内に現地の公安局(派出所)で住宿登記が必要です。
- 北京近郊の長城は区間ごとに個性が分かれます:八達嶺(最もアクセス良好、ロープウェイあり、混雑)、慕田峪(アクセスと雰囲気のバランス最良、ロープウェイとそり滑り台)、金山嶺(ハイカー向け、日の出の撮影が圧巻、静か)、司馬台(唯一の夜間ライトアップ区間)。ベストシーズンは春と秋です。
- 故宮は1日の入場者数に上限があり、オンライン事前予約が必須です。最低3〜4時間は確保を。天安門広場、北海公園、頤和園と組み合わせれば皇帝の北京を丸一日楽しめます。
- 日常生活はデジタル決済が支配します。WeChat Payとアリペイが屋台からタクシーまで事実上すべてに使われます。日本のVisa・Mastercard・JCBカードは両アプリに直接ひも付けできるので、必ず出発前に設定を。海外カード単体は店頭でほぼ使えません。ATMは都市部にはありますが農村部ではまれ — 予備の現金を携行してください。
- グレートファイアウォールにより、中国のネットワークではGoogle、Gmail、YouTube、LINE、Instagram、X(Twitter)など欧米・日本の主要サービスの多くが遮断されます。オフライン地図のダウンロード、重要書類・旅程の端末保存、中国語辞書アプリPlecoの導入、出発前のSIM/eSIM手配を。日本のキャリアの国際ローミングや海外用eSIM経由の通信は規制の影響を受けにくいのが実務上のポイントです。国内ではWeChatがメッセージ・決済・配車を担う万能アプリです。
- 標準語は中国語(普通話)。英語は国際ホテル、主要空港、北京・上海の観光中心部の外ではほとんど通じません。オフライン対応の翻訳アプリ(中国語はPleco、Google翻訳は中国語パックを事前ダウンロード)が必携です。タクシーには漢字で書かれたホテルのカードを見せるのが確実です。
- 中国は地理的に5つの時間帯にまたがりますが、全土が北京時間(UTC+8、日本より1時間遅れ)で動きます。新疆では非公式のローカル時間(UTC+6)も併用されます。世界最大の高速鉄道網は近代的で時間に正確、都市間移動の大半をカバーします。国内線は路線網が広い一方、遅延が頻発します。
- ベストシーズンは春(4〜5月)と秋(9〜10月)— 気温が穏やかで空が澄みます。春節(1〜2月、年により変動)と国慶節のゴールデンウィーク(10月1〜7日)は避けてください。国内旅行が爆発的に集中し、観光地は大混雑、ホテルと列車は数週間前に売り切れます。
旅行概要
万里の長城は一本の壁ではなく、総延長2万1,000キロを超える要塞網です。北京近郊の修復区間だけでも体験は幅広く、ロープウェイで登れる八達嶺から、日の出のなか稜線を歩く金山嶺の静かなハイキングまで選べます。故宮は72ヘクタール・980棟の建築群に5世紀の皇帝の栄華を刻み、西安郊外の兵馬俑 — 1974年に発見された8,000体超の等身大の兵士 — は20世紀を代表する考古学的発見であり続けています。桂林のカルスト峰と漓江下りは、水墨画の世界がそのまま現実になった風景。成都はジャイアントパンダの繁殖研究基地と、火鍋・麻婆豆腐・担担麺に代表される世界屈指のストリートフード文化を併せ持ちます。張家界の砂岩の石柱が霧の中に浮かぶさまは、地球の風景とは思えないほど。上海は外灘(バンド)の租界建築、浦東の未来的スカイライン、アジア有数のギャラリーシーンを黄浦江のひと曲がりに凝縮します。そして甘粛・新疆のシルクロード — 敦煌の莫高窟、トルファンの火焔山、カシュガルの日曜バザール — は、砂漠とオアシスと中央アジア文化を貫く大陸横断の旅。雲南の棚田、チベットのポタラ宮、杭州の西湖。中国は一度の旅行ではなく、生涯かけて通う価値のある国です。
中国を発見
故宮(紫禁城)は北京の南北中軸線の中心に位置します。72ヘクタールに980棟、明・清の皇帝が約5世紀にわたり暮らした、地球上最大の現存宮殿建築群です。太和殿、内廷、御花園、宝物館、文華殿の陶磁器展示は、何度訪れても新しい発見があります。入場はオンライン事前予約が必須で、1日の入場者数には上限があります。天安門広場(皇城の南門)、景山公園(故宮の堀を掘った土で築かれた人工の丘 — 北京最高の無料パノラマ)、天壇(皇帝が冬至の祭祀を行った場所)、頤和園(西太后の湖畔の離宮。昆明湖、長廊、蘇州街)と組み合わせれば、皇帝の北京が一日で立ち上がります。同じ王朝の地層は、西安の明代城壁と鐘楼、北京北方の明の十三陵、そして高速鉄道で半日の承徳の避暑山荘へと続きます。
この目的地の楽しみ方
万里の長城、故宮、兵馬俑、シルクロードの莫高窟、ラサのポタラ宮 — 中国は57件の世界遺産を擁し、その数は世界最多クラスです。どの省にも数千年の歴史が眠り、徒歩で、自転車で、高速鉄道で探索できます。
燃える四川火鍋から広東飲茶と北京ダック、蘭州の手延べ牛肉麺まで、八大料理の伝統が競演。どの街にもある屋台街、西安の回族イスラム料理、雲南の亜熱帯の味 — 中国は食べ尽くすのに一生かかる美食の宇宙です。
桂林のカルスト、張家界の浮かぶ石柱、龍脊の棚田、黄龍のターコイズの石灰華、聖峰・黄山 — 中国の自然は熱帯の海南島から四川の氷河峰、内モンゴルのゴビ砂漠まで、国土そのままに多彩です。
外灘と浦東の上海、胡同とオリンピック建築の間の北京、40年前にはほぼ存在しなかったテック都市・深セン、世界屈指の暮らしやすさを誇る茶館都市・成都 — 伝統と未来の対比がこのスケールで存在する場所は、ほかにありません。
甘粛・新疆を貫く古のシルクロードは、敦煌の莫高窟、鳴沙山の砂丘、トルファンの火焔山、カシュガルの日曜バザールを結びます。砂漠とオアシスと中央アジア文化をたどる、地上に残る最も偉大な陸路のひとつです。
杭州の茶芸、北京の書道教室、寺院公園の夜明けの太極拳、四川の山の仏教僧院、ヒマラヤの峠にはためくタルチョ — 中国の生きた伝統は日常に溶け込み、眺めるだけでなく参加することを誘います。
お金と通貨
人民元(CNY)
通貨コード: CNY
お金の実用的なヒント
出発前にアリペイかWeChat Payへカードをひも付ける
中国は現金もカードも飛び越えて、モバイル決済社会に到達しました。屋台やタクシーからホテル代、博物館のチケットまで、事実上すべてがWeChat Pay(微信支付)とアリペイ(支付宝)で動きます。日本発行のVisa・Mastercard・JCBカードは、中国の銀行口座なしで両アプリに直接ひも付けできます。出発前に、アリペイ(メインとして推奨)とWeChatをダウンロードし、カードを登録、パスポート認証を済ませ、6桁の決済用PINを設定しておきましょう。カードの名義はパスポートの英字表記と完全に一致している必要があります。プリペイドカードやバーチャルカードは原則はじかれます。
通貨は人民元(CNY)
公式通貨は人民元(RMB)で、基本単位は元(CNY)です。元の下に角(1/10)と分(1/100、事実上流通せず)があります。紙幣は1・5・10・20・50・100元。両替は銀行窓口(中国銀行、中国工商銀行、中国建設銀行)か空港の両替カウンターで — 無許可の路上両替商は絶対に避けてください。日本の空港での事前両替はレートが不利になりがちなので、当座の分だけにとどめるのが実務的です。
ATMは都市部なら十分、農村部ではまれ
中国の主要銀行(中国銀行、工商銀行、建設銀行、農業銀行)のATMは、海外発行のVisa・Mastercard・銀聯提携カードに対応し、人民元を引き出せます。都市部 — 駅、空港、商業エリア — には十分ありますが、小さな町や農村部ではまれです。1回あたりの引き出し上限は銀行により2,500〜10,000元が一般的で、中国側と日本のカード会社の双方の手数料がかかります。ATMだけに頼らず、必ず予備の手段を用意してください。
海外カードの店頭直接払いはあてにしない
ホテルやデパートの端末にVisa・Mastercardのロゴがあっても、海外発行カードの店頭スワイプは安定しません。国際カードが確実に通るのは、大都市の高級ホテル、空港の店舗、一部のチェーンレストランまで。市場、タクシー、屋台、コンビニ、小さな食堂といった日常の支払いでは、アリペイまたはWeChat Pay経由のモバイル決済が唯一実用的な電子決済です。日本のデビットカードやタッチ決済単体での通用も限定的と考えてください。
予備の現金はお守りとして携行
モバイル決済が支配的とはいえ、適度な現金を持ち歩くのが賢明です。一部のタクシー運転手、小さな売店、農村部の商店は今も現金を好み、あるいは現金しか受け付けません。スマホの電池切れ、アプリの不調、店のQRスキャナーの通信障害 — どれも実際に起こります。都市部のATMで引き出し、100・50・20・10元の紙幣を織り交ぜて、ひも付け済みの決済アプリと並行して持っておきましょう。
ご注意: 渡航前に必ず最新の為替レートを確認してください。両替は空港や銀行、認可された両替所で利用できます。
都市と旅の計画
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香港・マカオ
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